二階堂くんは貸出不可

08 はじめての電話

　ちょっと待ってよ、あまりにもチョロ過ぎやしないか私。いくら長らく恋愛がご無沙汰だからって、年下の男と電話したぐらいでドキドキしてるの？相手は学生ですが？

　これ以上ペースを乱されるのは良くない、と私は集合する店の住所をショートメールで送るように頼んで電話を切った。

（………つ、疲れた…）

　今年二十七歳になる大人女子が二十歳そこそこの若造に振り回されている。来いと言われてホイホイ出向く間抜けっぷり。だけど家に来てもらうのは無理な話だし最寄駅すら知られたくない。いや、自意識過剰かもしれないんだけど。

　すでに気疲れマックスで疲労した身体を引き摺って駅まで歩く。携帯を見ると、電車を乗り継いで三十分ほどの場所にある駅に位置するレストランの情報が送られて来ていた。

「………インドカレー？」

　ネパール家庭料理レストランと書かれたその店のホームページはどう見てもカレー屋。

　てっきり静かなカフェとか前回みたいに人の少ない喫茶店を指定してくると思ったから、首を捻りつつとりあえず電車に乗り込んだ。