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「なるほど、それで金曜の夜にフィーバーした挙句化粧も落とさずに寝てたと?」
「左様でございます」
「姉ちゃん。いくつだっけ?」
「一応、二十七歳をさせていただいております」
「化粧は落として寝な。老化早まるから」
ビシッと指を立てて言い切る穂高のお肌は今日もツヤツヤ。
最近「ジェンダーレス男子」とか「美容男子」なんて言葉をよく聞くけど、そんなものが台頭する前から彼は人一倍美に厳しかった。
大手百貨店で美容部員をしながら、個人で動画配信までしている穂高の美しさへの執念はすごい。そりゃもう、姉である私が己の怠惰を情けなく思うほどにはすごい。
「そういえばさ、見たよ」
「なにを?」
「堂林のイケメンくん。SNSで流れてきた」
「ああ!あの帰国子女でしょう?」
さすが情報通。穂高のイケメンアンテナの性能は高く、国内外問わず原石を見つける力は素晴らしい。
しかしながら、彼の口から堂林のアカウントの話が出るとは思っていなかったので、私はうっかり引用リポストしなかったことに安堵した。自分のプライベートな呟きが親族に漏れるほど恥ずかしいことはない。
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