小説家の内情・小説家視点

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「なんの用だ?」 「宮は?」  中を覗こうとするのを阻む。 「ケチ」 「用件は何だ」  イライラしながら聞く。 「俺が教えてやったのに」  昨日呼びに来たことを言っているのだろう。 「ああ、ありがとう」  一応礼をいう。 「どういたしまして。で、宮は?」  なおも覗こうとするのを阻む。 「用件が無いなら帰れ」  ドアを閉めようとすると「待て待て」と紙袋を差し出した。 「何だ?」 「宮に渡して」  受け取る。 「それだけだから、お大事に~」  来た時同様ニヤニヤ笑いながら帰って行った。  何なんだっ。 「誰です?」 「あいつからだ」  紙袋を渡す。  中から出てきたのはお重と小さな紙袋。 「あいつはお前のお袋か?」  唖然とする。  お重の中には赤飯が入っていた。  朝から自分で炊いたんだろうか……呆れる。  紙袋を開けると歯磨き粉のようなチューブ。 「何ですかね?」  チューブを取り上げる。 「あいつ余計な物を……」 「何ですか?」 「今度教えてやるよ」
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