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*十章の壱 初めて交わす唇と肌と、熱
――……終わった、のかな……? そう、思って身体を起こそうとしたら、今度は紺の指先がぼくのスウェットパンツの中に滑り込んできた。
熱い指先が、服地の奥の戸惑っている肌に触れる。そっと身体の線をなぞるような感触に、肌が泡立っていく。
「ッは、ッあ……」
思わずもれた吐息はぼくがいままで感じたことがないほどに熱く、そして甘い。
なにが始まろうとしているのか、ぼくは頭の片隅で薄々理解し始めていた。
理解し始めていたけれど、それがどうしてぼくになのかがわからず、やはり混乱したままだった。
再び、紺がぼくの唇を塞いで舌を絡ませてくる。そして、ゆったりと何かとろりとした液体みたいなものが口移しに注がれた。
その途端、ぼくの身体も紺の指先のようにじわじわと熱くなり始める。熱くて、紺と舌を絡ませてキスをするのがたまらなく気持ちよくなってきて、気づけばぼくからも舌を絡ませている。
「……ん、っふ……っは、ん……」
「緋唯斗……」
キスの合間に、紺に名前を呼ばれると身体の奥がじんと甘く痺れた。――もっと呼んで欲しい……そう、思ってしまうほどに。
紺がスウェットの中に忍ばせた指先は、ぼくの下腹部を弄り始めた。それまで存在を主張していたことを無視し続けていたそこに触れられた途端、身体に甘い衝撃が走る。
「っはぁう! っや、んぅ!」
まるでエッチな動画の女の子みたいな声を出してしまった自分が恥ずかしくて、慌てて唇を噛み締めたけれど、紺の手はそれを許さないように更にそこを弄る。
ぼくの下腹部……躰が、紺の手の中でどんどん膨らむように大きく硬くなっていく。
「っや、っあ! っは、んぅ!」
自分ひとりで弄る時とは違った感触は思ってもいない快感を呼んで、ぼくは嫌がることも忘れて甘い声をあげた。
このまま、紺の手でされちゃうのかな……そう、ちらりと頭に過ぎった時、ぼくを抱きしめていたはずのもう一つの紺の手が、ぼくの背後に回る。
……え? 背後の、臀部をなぞるように触れてくる指先に戸惑う間もなく、紺はぼくのお尻のナカに指を挿し込んだ。
「っやぁ! やめッ……!」
そんな汚いところに触れられたことも、指を挿し込まれたこともショックだったし、薄々頭で感じていた行為が実際に行われようとしていることが、何よりもショックだった。
お尻のそこに挿し込まれた指が、ナカを探るようにうごめく。じわじわと広げるように。
その感触が、躰を触られているのとは違った気持ち良さを伴っていて、ぼくはまた甘い声をあげる。
「あ、あぁッ!」
いままで弄ったことがないはずなのに、そこはすんなりと紺の指を呑み込んでいる。たぶん、指は一本だけではない。
下腹部の前は相変わらず紺の手の中に包まれていて、後ろと同時に扱かれる。
二つ同時に与えられる快感は、すぐにぼくをぐずぐずと甘くしていく。
「あ、ン……ッはぁ、あ、あぁ……」
ぼくは男で、お尻を……そのナカを弄られてもどうにもならないはずなのに……紺に弄られていると、女の子のように身体の奥から蜜を湧かせて滴らせていく。
くちゅくちゅと、ぼくの身体が音を立て始める。紺は襟足の辺りに唇を押し当てていて、そこがたまらなく熱い。
唇を押し当てられているそこから、更に何か体温が上がっていくものが注がれているような気さえする。それくらい、ぼくも紺みたいに身体を熱くさせて呼吸を乱していた。
お尻のナカからどんどん湧き出すように蜜が溢れて、それが腿を伝っていくのがわかる。でもそれを拭うことはできないほどに、ぼくは紺の愛撫に翻弄されていた。
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