佐伯さんは、絵のこととなるとド直球すぎる！？

「後輩くん、どっちが好き？」
先輩は絵のこととなるとド直球すぎる！？

　僕は、要颯斗（かなめ はやと）高校1年生。イラスト部に所属している。
今の部活に入ることを決意したきっかけは、
放課後漫画研究部を通りかかった時
「この絵柄、好きだ…。」
あの日からイラスト部に入った今も先輩の描く絵が変わらず好きでいる。
でも最近、部活中に困ったことが起きている。

―ある日の放課後―
　（佐伯先輩、今日はどんなイラストを書くのかな…。）
ガラガラ（ドアを開ける。）
「あっ、先輩！」
「おー！要くん来たんだねっ」
ここイラスト部はいつも僕と佐伯先輩の2人で活動をしており、たまに顧問の先生が来るくらいだ。
「そうだっ、後輩くん！」
「なんですか、佐伯先輩？」
「今描いている女の子のバストサイズを決めてくれないかな？」
（バストサイズ…。バストサイズってなんだっけ？昨日夜更かししすぎて頭回んないや。でも、サイズってついてるってことは大きいか小さいかで答えればいいのか？？）
「こ、後輩くんは大きいのと小さいのだったらどっちが好き？」
「そうですね、じゃあ小さいので」
「ふ～ん、分かった」
（まぁ、後輩くんが小さいのが好きなら…）
―数分後―
「後輩くん、完成しましたよっ」
「完成したんですね！」
（やっぱり佐伯先輩の描く絵は表情がやわらかくて好きだな…。）
「佐伯先輩、さすがです！！」
「それほどでもないよ（汗）」
「でも、まさか後輩くんは小さいのが好きだったんだね」
「何がですか？」
「何がって、胸の大きさがだよ？」
「へっ！？バストサイズって胸の大きさのことだったんですか？？」
「そうだよ！？もしかして知らなくて答えてたの？」
（恥ずかしっ…。まさか先輩が胸のサイズのことを聞いてたなんて！）
「すみません、絵のことにまだまだ無知で…」
「こっちこそ変なこと聞いちゃったね！ごめんっ」

あの日から、先輩の言動に驚くことが多くなった。

　私は、佐伯蘭（さえき らん）高校2年生。
イラスト部に所属している。
放課後の部活の時間は私の唯一の楽しみである。
あの日私は要くんにとんでもない質問をしてしまった。

―ある日の放課後―
（要くんまだ来ないな。）
ガラガラ（ドアが開く。）
「あっ、先輩！」
「おー！要くん来たんだねっ」
彼は、1年下の要颯斗くん。
私はあの日から要くんのことが気になっている。

―あの日―
　私が部室から帰ろうとドアを開けようとしたその時、
「この絵柄、好きだ…。」
（へっ！？この絵柄って、好きって…。）
部室のドアに掲示してあったのは、私の描いた部活勧誘ポスターだった。
今、目の前に私の絵柄が好きと言ってくれた人がいる。
そう思うだけで、心が高鳴っていた。

「そうだっ、後輩くん！」
（仲を深める最適手段！話しかけて打ち解ける！！）
「なんですか、佐伯先輩？」
こんなことを男の子に聞くのはどうかと一瞬思ったけど…
「今描いている女の子のバストサイズを決めてくれないかな？」
（あれ…？要くん考え込んじゃった。やっぱり間違えちゃったかな？？）
「こ、後輩くんは小さいのと大きいのだったらどっちが好き？」
（わー！？なんてことを言っているだ、私！！平然を装うとしたら余計に変なこと聞いちゃってるじゃん！！！）
「そうですね、じゃあ小さいので」
（小さいの…。あれ？？困らせちゃったかなと思ったら私以上に平然としてるよ要くん！ここは私も冷静に冷静に…）
「ふ〜ん、分かった」
（私、変な質問してなかったんだ…。良かった。いや？良かったじゃないよね、どうしてそんなに要くんは平然としてるの！？）
―数分後―
（これで良しっと！）
「後輩くん、完成しましたよっ」
「完成したんですね！」
（要くんはどんな反応するかな？？）
「佐伯先輩、流石です！！」
「それほどでもないよ（汗）」
（えっ！？さすが！？？嬉しいけど…。胸が流石なんだよね？もしや、要くんは平然を装っているけど実は変態なのか？いや、あんな質問をした私の方が変態だけど！ここはひとつ…）
「でも、まさか後輩くんは小さいのが好きだったんだね」
（さて、どう出る？要くん！！）
「何がですか？」
「何がって、胸の大きさがだよ？」
「えっ！？バストサイズって胸の大きさのことだったんですか？？」
「そうだよ！もしかして知らなくて答えてたの！？」
（そっか〜！！だから要くんさっきまであんなに平然としてたんだ！一時でも変態なんて思ってごめんねっ要くん！）
「すみません、絵のことにまだまだ無知で…」
（わー！私の方こそごめんよ！！）
「気にすることはないよ！佐伯先輩がこれから手取り足取り教えていってあげるから！」
「はい…」

最終的に要くんを困らせる結果になっちゃったんだよね。
よくよく考えてみたら、あの時は手取り足取り教えてあげるって言ったけど、これから私は要くんに何を教えていくんだろう！？