3、救出

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3、救出

 デーアとアンジュが目を覚まし気が付くと、共に手首を縛られ、胸の大事なところが薄く透けて見えるベビードールに下の下着のみの格好で柱に括り付けられていた。 「おや、気が付いたのか。ん〜、いい眺めだね」 「これはこれは。何とも背徳的でそそりますね」  ゴルトとシュタールに恍惚(こうこつ)とした表情で体の隅から隅までを舐め回すように見られ、デーアとアンジュは嫌悪感と恐怖感で涙が出そうになる。こんな姿をこの人達に見られるなんてと羞恥心で死にそうになった。  ゴルトがデーアの太腿を撫で上げる。シュタールもアンジュの顎から首筋、鎖骨をつたい胸の輪郭を撫でた。恐怖で声にならない声を出すデーアとアンジュはガタガタと震える。  デーアの脳裏にはいつもは喜怒哀楽の乏しいヴァイスハイトがたまに見せる笑顔が浮かんだ。アンジュの脳裏には実技試験でアンジュを負かせた後丁寧にアドバイスを入れ、教えてもらった通りに魔法が成功すると屈託のない笑顔で頭を撫でてくれたゲニーの笑顔が浮かぶ。 「「こんな事で自覚なんてしたくなかったのに」」 「ヴァイスハイトの」「ゲニーの」 「「バカ――!!」」  二人が同時に叫んだ次の瞬間、けたたましい音と共に小屋が吹っ飛んだ。 「俺の」「僕の」 「「女に手を出すな!!」」  土煙が立つ中、ヴァイスハイトとゲニーが同時に言い放ち駆け寄ってくる。幸いデーアとアンジュはかすり傷一つないが、ゴルトとシュタールは白目を向いて倒れていた。 「なんて格好されてるんだ!」 「大丈夫か? 怪我はないか?」  ヴァイスハイトはデーアに、ゲニーはアンジュに着ていたジャケットを羽織らせる。安心したデーアとアンジュは子供のように泣きじゃくった。ヴァイスハイトとゲニーは赤子をあやすかのようにそれぞれを抱きしめらながら頭を撫で、段々と二人は落ち着きを取り戻す。  ゲニーがかけた拘束魔法で縛り上げられたゴルトとシュタール、誘拐犯達は国家警察に連行された。 「色々と聞きたいことがあるんだが」  すっかり泣き止んだ二人に対してヴァイスハイトは沈黙を破る。ゲニーも真剣な顔付きだ。 「ああ、聞きたいことがいくつかある。まず最初に聞くけど『バカ』ってどういうことだ?」  そこから聞くのかとゲニーの気の利かない発言に頭痛がしてくるヴァイスハイトは弟の頭を思いっきり引っ叩いた。 「痛!」 「俺はお前の発言で頭が痛いよ……。とりあえずこんな所で長話するのはなんだから、俺達の家に来るといい。そこでゆっくり話を聞こう。オラーケル家にはちゃんと連絡しておくから安心していい」 「私達、今魔法が使えないの」  転移魔法を詠唱しようとしたヴァイスハイトとゲニーに向かってアンジュがゲニーの服の袖を引っ張りながら慌てて言う。 「この指輪をしてると魔法が使えないのよ」  困ったように続いてデーアが言った。 「外れ……ない」  ヴァイスハイトはデーアの指から指輪を外そうとしたが一向にビクともしない。 「なんか厄介な魔法がかかってるな」  解析魔法を使ったゲニーは眉をひそめた。 ((うーん。中出しされないと外れないとは言えない)) 「とりあえず体に接触してれば転移出来るから」  そう言ったゲニーはひょいとアンジュをお姫様抱っこして転移魔法を使う。 「話も聞きたいし、早く着替えさせたいから行くぞ」  ヴァイスハイトもそう言ってデーアを軽々お姫様抱っこし、ゲニーに続いて転移魔法を使った。
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