2049年・夏

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2049年・夏

 念願の時間旅行者(タイムトラベラー)に選ばれた。  来月から約半年間、そちらでいうところの高校二年生:筧未来(ミク)は、長谷川未来(母の旧姓を借用)として2023年の日本へいく。  最近の米国(アメリカ)では、地中深くにて学者たちにより偶然発見された、超磁場を利用した時間の行き来を可能にする方法により。  年間数名だけだが十八歳未満の男女に限り、国からの時間旅行が認められた。  その磁場に呼応する発信機を持っていき、形態は行き先の時代に合わせ様々だが。  時空を超えて元の時代と連絡を取り合い、授業の単位としても認められている。  ミクの場合は行き先に、ネット環境が既に整っているため、時代に合わせたタブレット端末が発信機となる。  超硬化されたステルス人工衛星が、実はそれぞれの時代の衛星軌道上に浮いている。  だが安心してほしい、その時代の技術では発見できない仕組みだ。  強い重力場の周辺では、空間が歪曲する。  これを極めることにより、時間の行き来が実現した。  全ての時代に磁場はある。  それぞれの過去と未来をA点、B点とする。  次にその二点を結ぶ、ワームホールを生成する。  これは空間を直結するバイパスなので、二点間の移動に時間は発生しない。  つまり一瞬で移動できる。
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