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未来の娘に恋してどうする。
可愛いと褒めてくれたのは、あだ名のことだと捉えた。
「校内の案内を、お願したかったんだけど」
父は無視して委員長に。
「昼休み、残り少ないわね。放課後でもいいかしら」
凛とした態度の委員長。
「うん、誰かお願できるかな」
建物内でも地図アプリを頼れた未来と違い教室やトイレ、昇降口の場所をいちいち自力で覚えねばならない。
未来は今よりも便利なので、頭を使わなくても迷子にならないのだ。
俺が、と立候補してくれた父の、後頭部をスコンと手刀打ちした山下が答える。
俺いいよ、との返事には夢ちゃんが、あからさまに嫌な顔をしたことに、勿論ミクは気づいていなかった。
寧ろこれから始まる異世界……じゃなくて過去生活への期待に、大きく胸を高鳴らせていた。
初日の放課後を迎える。
決して広くはない校内だが、覚え慣れていないミクの脳みそは疲弊していた。
それに気づいてか山下は気持ちゆっくり歩き、何度も立ち止まってくれる。
また教室の位置や造りだけでなく、先ほどの生徒たちについても教えてくれた。
夢ちゃんが学園のマドンナだったり、じゅんじゅんが剣道の全国覇者だったり、そして都が現役東大合格圏内だったり。
クラスメイトみんな親切だったので、緩やかに溶け込むことができた。
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