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たった二六年先の技術だ、未来が現実になるまで待つ。
タイムマシンというか時間移動の技術を使い、彼女のママに会うため過去へ遡ることは理論上可能だ。
しかし時間旅行には審査が沢山必要で、実現できるのはほんのひと握り。
米国の技術であるため、日本在住の彼女は特に難しいだろう。
またそもそも時間旅行は、実験の延長レベルなので非公開だ。
どうした、と山下が入ってくる。
ミクは涙が止まらなかった、自分は恵まれていたのだと知った。
願っても叶わない人は沢山いたと、思うと言葉にもならなかった。
ちょっと面白そうだから、当初そんな些細な理由でミクは応募を検討した。
山下くんに会ってみたい、そんな後づけの理由は、今のヒサちゃんほど強い思いじゃない。
比較対象ですらないだろう。
最初の審査を通過してからは、折角だから最終まで残りたいと欲を出し、残ったら残ったで受かりたいと。
行き当たりばったり、お気楽な遊び感覚だったのかもしれない。
本気という感覚を、ミクは知らなかった。
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