2023年10月2日

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 K.うっかりネットスラングを返す。 「山下くん、転入生に校内のことを教えてげるのは、昼休みになさい。  今のここ読んで、訳して」  先生に指されてしまう。何人かは振り返り、ミクと山下を交互に見た。  あ、はい、と山下は教科書を持ち、立ち上がった。 「Who knows what will happen tomorrow?」 「意味は、答えて」  間髪入れず、先生の突っ込み。 「意味は、明日……誰。はぁ?」  見ていられないとばかり、ミクは立ち上がる。 「明日、何が起こるかは誰にも分からない」 「そうですね、直訳すると……山下くん、もう座っていいのよ」  貴方の(ターン)はもう終わりとばかり、ミクは既に座っている。 『英語、得意なのか』  懲りずにメモが回ってきた。  ミクは昨日までの時点で、こちらの高二に当たるグレード11の半分まで、履修を終えていた。  全ては時間旅行を終えた時、未来の自宅へ帰った後で、滑らか(スムーズ)に元の生活に戻るための作戦だ。 『けっこうね』  結構とは強ち嘘でもないが、得意不得意の程度(レベル)ではない。  環境がそれを強いたのだから、嫌でも苦手でも、英語を話すしかなかった。  日本をもっと知りたい、週一の日本人学校だけじゃ足りない。  アイデンティティは日本人なの!  そう心は叫び、今回与えられた日本での生活機会をとても楽しみにした。  しかし残念なことに、二限目の国語(日本語)は全然ついていけない始末。  何事も、予定調和とはいかないようだ。  幸いにも今(2023年)から十五年後に渡米した両親から教わった日本語が、問題なく通じたことは喜ばしい。
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