第1章・呪縛 3ー①

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第1章・呪縛 3ー①

執務室でこんなに身の入らない仕事をしたのは初めてだった。 何も知らない光司の体を、欲望のままに貫いた。 スウェイドは後継者争いを避ける為、今まで関係を持った女達は全て避妊具を付けてきた。 自分が、親類からの横やりに苦労してきた人生だったからだ。 ましてや男の体に避妊具を付けずに行為をいたすなど、後の負担を考えたら避けてやるべきだった。 昨日は自分の怒りの暴走を、止める事が出来なかった。 光司があまりに初々しく、不慣れなのも拍車をかけた。 そして挿入した後の、女ではあり得ない甘美な締め付けも、味わった事のない快感だった。 射精した後の冷静になった自分は、罪悪感と後悔で、朽ち果てるかと思った。 隣で気を失う光司の寝顔は、さらに幼く荒淫からか、やつれ果てていた。 光司を前にすると、獣のようになってしまう自分が恐ろしい。 優しくしてやれば良かったと思う反面、もっと啼かせてみたいと思う自分がいる。 象牙色の絹のような肌のあちこちにキスマークをつけて、噛みつきたい。 そのこぼれそうな茶色の大きな瞳から溢れた涙を余す事なく舐めたい。 限界まで開いた足をベッドに縫い付け、際限なく犯したい。 「お仕事が手に付かないようですね」 アッシュが堪り兼ねて声をかけた。 「今朝程、リエカ様が正式に正室を辞退されると伺いました」 「……その事は、もう良い」 それを聞くと、昨日の自分の悪行に苛まれる。 「良くはありません。リエカ様を正室になさるという事で、問題あるコウジ様を第四側室に迎えたのです。このままでは、クロエ様とマライカ様が黙っているとは思えません」 クロエもマライカも、親戚筋から貰い受けた側室だった。 娘を国母にする、そんな親の野心が見える女に子供を産ませるつもりはなかった。 新しい女か、ハーレムからか……、正室はリエカが手に入らない以上、誰でも良かったが、見知らぬ女や、どうでも良い女に正妃として幅を利かされるのも困る。 スウェイドは、その高い鼻の付け根を摘まみ、俯いたままアッシュに言った。 「女同士のいさかいも、権力争いも真っ平だ。後継者にはアブドルを任命する。正室には……コウジを据える」 アッシュは声にならない悲鳴を上げた。 「お、お待ち下さい!昨日、いかほどに具合が悦かったかしれませんが、コウジ様は駄目です!あらゆる所から不満が出ます!」 「もう、跡継ぎがいるから構わんだろう」 「クロエ様とマライカ様が、とても納得されるとは思えません!」 「それならば、あいつらを実家に帰らせる」 「怖い事を仰らないで下さい!」 スウェイドは立ち上がり、窓際まで歩み、庭で遊ぶエレナイとアブドルを見つけた。 「アッシュ、これは命令だ。コウジに正妃の教育をし、とことん磨け。他の女どもが羨むような豪華な装飾で、コウジを飾り立てろ」 アッシュは目眩を覚え、その胃炎は悪化させるばかりだった。
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