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サンダーの過去
過去の話をすべきかというと迷う。
サンダーは元々現地では大学に通っていた。現地は学歴社会で、大学に入るために幼いうちから勉強させられる。サンダーが受験戦争に巻き込まれたのは九歳と遅かったため、ついていくことから始まった。
皆、眦を決して勉強に励む。良い大学に入らないと貧困層から抜け出せない、もしくは貧困層に落ちるからだ。海外に留学する選択肢もあるが、それには多額の金がいる。
サンダーは毎日、厳しいスケジュールをこなした。朝早く起きて、学校に行き、大量の知識を詰め込み、それから問題を解く。帰宅は夜遅くだ。まるで、ビジネスマンのような毎日だった。
頭が痛くなっても休めない。その間に皆前に進んでいる。立ち止まれない。母親に飯を口に運んでもらいながら問題集を解くことも日常茶飯事だった。
恋や青春など、創作の世界の出来事だった。恋をしている人はたまにいたが、サンダーには無関係だった。むしろ、ハニートラップくらいにしかみえなかった。参考書が恋人のようなものだった。
努力の甲斐あり、サンダーはとある名門大学に合格した。
「お前を誇りに思うよ」
父が男泣きをした。母は頭をなでてくれた。
エリートコースの門はこうして開かれた。
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