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絶望の淵にあったサンダーに話しかけたのは大学の先輩だった。
「大変だったね」
先輩は親身になって話を聞いてくれた。
「レイくん、君はタウンズビル大学の留学が決まっていたね」
彼は優秀な人材を紹介するのが仕事だという友人を紹介してくれた。
「タウンズビルの建設会社で働く気はないかい」
形は違えど念願のタウンズビルに行けると聞き、乗らない手はなかった。
友人は、サンダーに試験を受けるように命じた。簡単な試験だった。語学の試験は資格があったため免除になった。
晴れて「労働者」の査証が発給され、サンダーはタウンズビルに降り立った。
サンダーは建設会社で真面目に働いた。先輩の言うことには従い、重労働にも耐えた。入国当時は三桁を超えていた体重はみるみるうちに落ち、新たに綺麗な筋肉が体を覆った。顔も無駄な脂肪が消え去り、本来の顔立ちに戻った。ニキビも消えた。一年も経つとすっかり別人になっていた。
サンダーは貯めていた給料で眼鏡をコンタクトに変えたり、服を買ったりするようになった。それに伴い、女から声がかかるようになった。顔立ちもよく背も高いサンダーは女受けが良かったのだ。
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