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人形と部屋
トムとサンダーが眠った。ジーマが目をパチリと開ける。
トムを見つめる。彼はあの先輩に似ている。彼の名はセルゲイ。一番デイビッドの寵愛を受けていた男だ。
彼は美しく、爽やかな青年だった。初対面のジーマにも優しく接した。セルゲイは家族を支えるためにアルバイト先を探していた時にデイビッドに出会ったと話していた。
しかし、ある時消えてしまった。あの部屋に入った時に。他の仲間もだ。皆、あの部屋に入ると消えてしまう。
二人は行かないで。ジーマは声を出さずにトムにしがみついた。
トムは寝息を立てている。
「…マリリン…」
女性の名を呼んだ。これだけかっこよければ女くらいいてもおかしくない。
―そうだ。
ジーマにいい考えが浮かんだ。
―いっそのこと、いなくならないようにすればいいんだよね。
もう一人の外国人も仲間に入れてあげよう。仲良く「人形遊び」をしようね。ずっと、ずっと。
「ジーマ」
ドアが開いた。デイビッドだ。時間か。
ジーマはデイビッドについていった。
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