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携帯電話が大音量で流行の曲を歌う。トムの携帯電話の目覚ましだ。
トムが目を開けて携帯電話のアラームを止めた。サンダーも目を覚ます。
「眠い…あれ、もう七時か」
顔を洗い、支度をする。デイビッドにお礼を言って帰路につくことにした。
「あれ」
昨夜までいたジーマがいない。朝食の席にも。サンダーは図々しくもパンを四つも平らげている。バターやらジャムやらマーマレードやらをふんだんに塗ってサンドイッチにして、ゆで卵もパクパク食べている。ビュッフェで大量に取るタイプと見た。
「あの、昨日いたジーマと言う人は…」
「いたかな、そんな人」
デイビッドはあたかも彼がはじめからいなかったように振る舞う。
「今日、僕は仕事だから、二人にはもう少しいてほしいんだ。用事はあるかな」
特にない。あっても言い出せない圧を感じた。
二人はデイビッドが帰るまでいることにした。
「じゃあいい子にしているんだよ。あ、部屋の鍵は預けるけれど、奥の部屋の鍵だけ開けたらいけないよ」
二人は頷いた。
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