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ハッピーバースデー
十月十一日。この日、トムはジョージを連れ出した。街に繰り出し向かった先は洋品店だ。
「ジョージ、行こう」
細身のジョージに似合う、紺色のストライプ入りスーツに水色がかった白いシャツ。試着をさせたら、サイズも雰囲気も似合っていた。
「お客様、お似合いです!」
店員が拍手をした。
次に向かったのは美容室。少し伸びた髪を切ってもらうと、さっぱりした。
女性がジョージを見ていることに気づいた。ジョージも視線に気づき、トムに尋ねた。
「俺、変かな」
「逆だよ。ジョージは身ぎれいにしてればモテるんだよ」
少し照れたのか、顔が少しピンクに染まった。
朝日楼に戻ると、料理やケーキの香りがした。
談話室に入ると、クラッカーが鳴る。
「ハッピーバースデー!」
ジョージは驚いていた。彼はトム以外に誕生日を祝われたことがない。
「ジョージ宛に郵便が来てるだけどみちゃったよ」
サンダーがカードを渡した。カードの差出人はロザンヌだった。開けると、バラのイラストにメッセージが書いてあった。ふんわりと香水が香った。
「おめでとう!愛を込めて、ロザンヌ」
小包にはネクタイが入っていた。ジョージが好きな薄めの青緑だ。
「珠とおそろいだな」
ハイが肩を叩いた。
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