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時計を見回すと、夜中になっていた。朝日楼に帰るのは難しそうだ。
「今夜は泊まっていくがよい」
「いや、それは…」
「私は二人にはいつまでもいてほしいのだがな」
デイビッドは冗談めいた口調で言った。
寝ていたベッドがあった部屋を借りることになった。ジーマは嬉しそうだ。
「長らく一人だったから二人がいて嬉しいな」
ジーマ曰く、少し前まで何人かの仲間がいたのだそうだ。
「あなたはその一人にそっくり」
トムに抱きつく。人懐っこい青年だ。
「あなたはどうしてここにいるか」
サンダーが聞くと、ジーマはあっけらかんと答えた。
「お金くれるから。俺、ここではエリアJと呼ばれるところから来たんだけれど、お金なくて」
サンダーの目つきが悲しげになる。
「そうか。俺も外国人ね。互いに大変ね」
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