特殊業務部 嶺岸好芽 24歳

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 総務部の倉庫の前に立つ。ここには紙の資料が詰め込まれいる。今は大体の記録がデジタルで残されているのでこの部屋に立ち入る人はほとんどいない。ただひとりを除いて。俺は応答がないことをわかっていながらもノックをしてからドアを開けた。  床を広く空けられたスペースにブルーシートが敷かれている。液体で濡れて光るブルーシートは泥と草のにおいがした。そこに座り込む全裸の社長が振り向いた。白っぽい柔らかそうなものを抱えていた。 「お疲れ。先に始めていた」 「お疲れ様です」俺は言ってシャツの袖を捲った。皮を開かれ鋭いアイスピックで床に留められた白い生き物が既に何体か出来上がっている。「同定は終わったんですか」 「んだ。ただデカいだけのクロサアリシミ」 「社長が言っていた通りでしたね」 「これぐらいなら開かなくてもわかる」誇らしげでもなく、謙遜するわけでもなく、ただ事実を述べているだけの声色。「美味しそうな所だけ出しといて欲しい」
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