特殊業務部、オオトモボディサービス 三塚証、三塚祝 27歳

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特殊業務部、オオトモボディサービス 三塚証、三塚祝 27歳

 ふたりで仲良く半分こ、という状況は双子でなくても起こりうる。これが3人以上になったらもっと悲惨だ。だから僕らがいつも何かを共有することに関しては特に不満もない。おやつは半分ずつ、子ども部屋もふたりで共有。ひとつしかない玩具は半分にしようとしてバラバラに分解したら親に叱られたので、その後は代わり番こに遊ぶようになった。  僕らは仲も悪くはない。保育園から高校まで同じ所に通っていたがお互いを疎ましく思ったことはなかった。むしろ違う大学に入学してしばらくは別々の通学路を使うのに違和感を覚えていた程だ。結局子ども部屋は片方が一人暮らしをするまでふたりで共有。お互いの存在がすぐそばにあっても全く不快ではなかった。片方が一人暮らしを決めたのも、「きょうだいがここまで何の不快感も抱かずに一緒に過ごしていることが周囲には奇妙に見える」と気が付いたのが理由だった。じゃあ僕が家出るから、と僕らは示し合わせて距離を取った。  僕らがふたりでいる間、どちらが証でどちらが祝か、どちらが兄でどちらが弟か、ということは何の意味も持たない。名前というのは記号のようなもので何かと何かを区別するために存在する。僕らは分ける必要がないのだ。僕らは僕らであって個別に呼ばなければいけないことなんてない。  ある日僕らは「な、男とヤったことある?」と、片方が言って「ないね」と片方が言った。 「思ってたより楽しかった」
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