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県指定普通哺乳類型人工生命体 2063年式 2012年デザイン 耐久時間不明 生殖機能有
社長室はほとんど使っていない。たまに昼寝するぐらいだ。特殊業務部との仕事が多いのでそこにデスクを置かせてもらって事務作業をしている。社長が同じ事務室で仕事してるって社員としてはやりづらいんだろうなと思いつつそうしている。まあ事務作業よりも外の仕事の方が多いし勘弁してよという気持ちである。
「社長、大丈夫ですか」
外仕事から戻るなり嶺岸にそう言われた。俺は表情を誤魔化すように前髪をグシャグシャと掻き「大丈夫」と答えた。嶺岸は手元のデータに目を落とす。
「最近怪奇種の出現多くないですか」
「こんなもんじゃないか」
「冬ってことを考えると異常だと思うんですけど」
「暖冬だから?知らんけど」と俺は窓を見遣る。誰がどう見ても「曇っていますね」と感想を述べるであろう紛うことなき曇天。雪が降ってもおかしくないこの時期にも関わらず、天気予報は雨だ。
「社長も無理しないでください。松島基地からいくらでも呼べるんだから」
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