マシーンと6人の愚かな成虫君

管理部 人工生命体管理室 亀卦川琉河 30歳

　琉河君が格好いいから、私も琉河君に見合った彼女になりたい。初めて付き合った相手にそう言われて嬉しかった。オレは自分の見た目が良くてモテることもそれなりにわかっているが、自分の見た目に釣り合うような人を選んで付き合っているわけではない。が、オレが関わることで彼女が変わっていく様子を見るのが楽しかった。喜びだった。だから、それに執着するようになった。

　入社した後すぐに社長の姿を見た。良く言えば切れ長、悪く言えば死んだ目をしているハッキリしない顔立ち。背は高いがオレ程ではないし身体のバランスは良くない。全体的に整った容姿とは言い難い見てくれだった。それで社長の方が劣っているとか、オレは勝ったとか、そういうことは思わなかったが。とにかく、彼を魅力的な人間とは思えなかった。