56 戦争の知恵

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サラサの居所をなかなか吐かない魔人の将に腹を立てオポトに任せた。彼はドォルドー国のヤベー奴……ヴィヴィルツ・カーマイン将軍直伝の自白洗脳術を使い、本拠地を特定できた。この場所から1週間ほど南へ移動したところにある丘の上にそびえ立つ魔王城……ゾディックで城下町の住人を合わせて1万人はいるそうだ。 その内、従軍できるのは約3分の1くらいなのでこちらの再編成した戦士団5千人に比べれば数が少し足りないぐらいだが、相手は魔法が使えて、身体能力も人間と比べてはるかに高い。武器も使ってくるので、こちらが倍以上の数を揃えて、かつ、鋼のチカラを借りてもまだ怖い(・・)。 魔王は、私たちがこの地底世界へやってきたのと同時に渾沌とした秩序のなかった魔人社会に現れて数日で統率したそうなので、そのチカラは計り知れない。そのうえこの地底世界に住むすべての人間にとって迷惑な話で魔人以外の種族……人間も含めてすべて滅ぼそうと準備をしているそうだ。 正面からぶつかったら勝てるかどうかも怪しく勝てたとしても、大量の死傷者が出てしまう。なのでここはバロア師匠から教えてもらった戦術を駆使することにした。 城というくらいなので、城攻めが必須になる。本来なら兵站を整え、長期戦を十分に考慮して望まないと逆に負けてしまうなんてことも歴史書を紐解くと失敗例がたくさん載っている。だが、私はあえて短期戦に臨むため、速やかに進軍させた。 本来ならレオナード皇子に大将になってもらった方がいいのだが、皇子がそれを辞退し、地底の民たちからも私が総指揮を執って欲しいと強い要望もあるので、引き続き私が作戦立案から現場の指揮まで行っている。 斥候を多めに出して先の方の地形や魔人の動向を地図の空白部を埋めながら駒を作る。情報をかき集めた結果、いくつかの作戦を思いついた。師匠のバロアからひとつの作戦だけでけっして戦いに望んではならないという教えを受けた私は複数の作戦を連動、補完させるカタチで魔人たちを嵌めようと作戦遂行のために準備を進めた。
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