63 赤い光

2/2
前へ
/136ページ
次へ
完全に決着がついた。 この戦争の指導者ヴィヴィルツ・カーマイン将軍は首都にいたため雷霆(ケラウノス)で消え失せ、従軍した兵士も9割9分以上は帰らぬ人となり、国民にも大きな被害がでた。 残ったひと達は無条件での降伏を宣言し、エブラハイム国はこれを受諾。私の進言もあり、ドォルドー国の領地は丸々エブラハイムの領地に編入することをレオナード皇子が宣言した。 私たちは次に旧ドォルドー国領地の北にある反法治国家マガツワタと交戦するべく北へ進軍を始めたが、戦うことなく決着がついた。 賢いっちゃ賢い、ドォルドーの惨劇を目の当たりにしたマガツワタは私たちが到着する前に軍をすべて自国へ引き上げた。そのうえ、エブラハイム王国に対して、魔法王国の年間の国家予算の3分の1にあたる戦争賠償金を20年間払い続けると宣言し、その後レオナード皇子と条約を結んだ。 まあ侵略に加担したとはいえ、見事な引き際だった。中途半端な動きを見せたらエブラハイム王国にとことん追い詰められていただろうから、小賢しいが溜飲を下げるしかない。 でもね、でもだよ?  アイツら(・・・・)は絶対に許さない。エブラハイム王国を一度滅ぼした原因を作った張本人……対価は命をもって償ってもらわないといけない。降参なんて許さないし、逃亡も許さない。
/136ページ

最初のコメントを投稿しよう!

65人が本棚に入れています
本棚に追加