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65 人質奪還作戦
「はいーーーッ、なんですってぇぇぇーーーッ!?」
テイラー国から一方的な戦争終結宣言が書面で送られてきた。領地についてはベルルクの街を含むエブラハイムの国土の3分の1をテイラー国が領地として治め、戦後の補償などはいっさいしないと書かれている。
またこちらから今後、攻撃を仕掛ける場合は、リストに載っている人物をひとりずつ処刑していくと脅迫めいたことが書かれていた。
レオナード皇子の妹、サラサのお姉ちゃん、そして私の家族……。
ひと通り目を通したあと、レオナード皇子が溜息をつきながら承諾のサインをすると来た時と同じように自分で勝手に折り紙のように折って蝶々のカタチになって飛んでいこうとしたのを私が魔法で撃ち落とした。
「シリカ! なんてことを!?」
レオナード皇子は自分の家族もそうだが、私やサラサの家族のことまで心配してくれている。それは承知しているのだが。
──あの親子は許さないと決めている。思えば5歳の頃に会った時からキャムの父親はクズ野郎だった。
「人質を救出する作戦?」
「うん、もう準備は始めているからあと数時間で作戦を始められそう」
レオナード皇子にそう返事をして、私は雷霆をぶっ放す天空に浮かぶあるモノで走査していたベルルクの街を土魔法を使い3Dプリンターで出力するようにジオラマ模型を完成させた。
その数時間後、今度は複数の人物の位置を特定し、ジオラマ模型に投影する。
「皆、聞いて、これより人質奪還作戦を決行します」
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