66 贖罪

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66 贖罪

「姉さん、ボクも戦う」 「無理、もっと強い男になってから言いなさい」 「うっ……姉さん……」 ベルルクの街から北西にある森のなか、以前ニオギ・ヒュドラと戦った場所へ向かう途中くらいにある岩山の裏。捕らえられていた人質を自走式の魔導トロッコに乗せて安全な場所まで見送ろうとしている。 王都デルタはベルルクの街から見て南の方角なのでまさか北西へ私たちが移動したとは思ってもいないだろう。 ここまでの移動手段はロニの土魔法〝兎孔道(バロー)〟で5mくらいの深さで1日掛けてここまで掘り進んでやってきた。ロニだけの魔力ではこんな短期間でここまでくるのは困難だったが、私の膨大な魔力をロニへチャージすることで成し遂げた。まあロニにとってはこのうえない重労働になってしまったが。 人質の場所は事前に特定していたので、私の魔法で霧を発生させ、ミラノの魔法で強風を起こし、オポトに変身魔法で潜入してもらった。霧魔法で目撃者がいても遠目から顔が視認しづらく、強風で物音をかき消した。ベルルクの街を出たところで人質6人を縛っていた魔力を吸い取る魔法の縄をウェイクが腕力だけで引き千切り、エマの魔法で木の葉で足跡を葉っぱで覆い、発見を遅らせるよう細工をしてもらった。 「シリカ、無理をするところなんだろうけど、死なないでね」 「うん、お母さま、ありがとう」 竪穴の下にある賢者アールグレイが造ったレール上にあるトロッコから母親が見上げて私に声をかけてくれた。 大丈夫、心配しないで、むしろ●し過ぎないように注意するから……。 人質を見送ったあと、今度は次の作戦のために必要な人物に来てもらった。 「さーて、逆賊テイラー親子への報復を始めるわよ」
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