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68 私の二度目の人生は幸せです
「それでは新婦の入場です」
──半年後、デルタ湖の中央に新しく建てられた仮設のエブラハイム城……その中である結婚式が行われている。
新婦の女性は何度も深呼吸をして、ドア係に合図をして両開きの扉を開けてもらうとたくさんの人が左右に参列していた。
父親と腕を組み、真っ赤な絨毯をウェディングドレスの裾を踏んで転ばないように一歩一歩、丁寧に歩いていく。
ウエディングロードの途中で父親の腕を放し、壇上で待つ新郎の元へと階段を上っていく。
新郎の手を取り、教会の司祭の前に立つと、司祭がこちらの世界流で神に祈りを捧げ、誓いの言葉を新郎へ問いかける。
「汝、サラサは病めるときも、健やかなるときも、新婦シリカと愛をもって互いに支えあうことを誓いますか?」
「誓います」
きゃぁぁ、カッコいい/// サラサがいつにも増して素敵にみえる。
次に私にも誓いの言葉を問われたので「誓います」と答えた。
新婦側の前列では弟のケイが「姉さん……女のひとに嫁ぐってアリなの?」と涙を流して喜んでくれている。ありがとう。
私は何人もの殿方から求婚されたが、すべて断った。だって素敵な女性が隣にいるから。これが乙女ゲーであれば主人公サラサは男性陣を選ばず、親友を生涯のパートナーに選んだことになる。でへへっ。
幸せな報告は私たちふたりだけではなく、エマとミラノも来月挙式することが決まっている。
レオナード皇子改めデマンティウス14世と宰相ロニ・ゴットフリートはふたりとも私に振られたせいで、生涯独身だったらシリカのせい、と周りに公言している。いや、結婚しろよふたりとも……国の中枢の人間なのに婚期逃すぞ?
オポトは相変わらずレオナード王の護衛を務め、ウェイクは私に振られた傷心武者修行の旅に出ると言って、別の大陸へ渡った。
私たちの新居はベルルクの街の郊外に建てた小さな家。
新婚旅行は地底世界へ行くつもりだ。シェルたちにも私たちのラブラブっぷりを見せつけねばなるまいて。
あと、私たちふたりは性別が共に女性だが心配はいらない。魔法でふたりの遺伝子を抽出して子どもを作る準備は整っている。
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