5人が本棚に入れています
本棚に追加
「ドレスが無いなら貸衣装屋に行けばいい。近所の娘達はみんなそこを利用するようだから。レンタル代なら出してやる」
「いらないよ。アタシが抜けたら誰が接客やるの。アタシ抜きでランチタイムとディナータイムの激混みをさばけるの?」
ここ2ヶ月、食事時はめちゃくちゃ混む。2時間以上満席状態が続く。ライリー一人で注文を受けて調理配膳洗い物なんてできない。
ライリーいわく、前までは閑古鳥状態で、めったに混まなかったらしい。
こんだけ美味いんだから、味を知った人がリピーターになるのは当たり前。
「だ、だが、王城の命に背くのはだな。1日くらい俺一人でなんとかするから、舞踏会に出たらどうだ。レイラは女の子なんだから、こんな片田舎のレストランなんかより、きらびやかなところがいいだろう。王都にあこがれて何人もこの町を離れていくのを見てきた」
「そんなことないよ。アタシ、ライリーの作るごはんと淹れる紅茶好きだもん」
「す、好きなんて簡単に言うな」
あらま照れちゃって。アタシよりずっと年上なのに、なんて初心なんだろう。
「とにかく、国王主催の舞踏会を拒否なんてできないんだから、行ってこい。レイラも、罪に問われたくはないだろ。運良く見初められたら王妃になれるんだぞ」
「……そこまで言うなら仕方ないなぁ。パッと行ってサッと帰ってくるわ」
まあ素材が美少女のシンデレラでも中身が庶民のアタシだし。王子様に見初められるなんて展開、ギャグ漫画でもなけりゃないっしょ。
最初のコメントを投稿しよう!