5人が本棚に入れています
本棚に追加
昼になる頃、見慣れらないお客さんがやってきた。
長いローブでフードを目深にかぶった、ステレオタイプの魔法使い……いや、名前を呼んではいけないあの人みたいな怪しい格好の人。
「人を探しているんだ。どうしてもその人に会いたい」
「ええと、それはおつかれさまです?」
ここは探偵事務所でもないし迷子センターでもない、ただの小さなレストランなんだけど。来るとこ間違えてないかな?
「レストランならいろんな客が来るだろう。協力してくれ」
「えぇぇ…………」
アタシはどうすればいいか迷って、ライリーに目を向ける。
「探偵を雇うべきでは?」
ライリーもごもっともなことを言う。
「その探偵とやらもどこにあるかわからないから、たまたま目に入ったこの店に頼んでいるんだ」
ライリーがやれやれとため息をつく。
「困っているのに放っておくこともできないか。レイラはこの街の探偵事務所の場所わかるか?」
「まあ一応」
「いったん休憩にしてやるから、案内して差し上げなさい」
「えええぇ………」
雇い主に言われちゃったら従うしかない。それにライリーの言うように、困っているのを放置するのもね。
そんなわけで、名前も知らないこの人を探偵事務所まで案内することになった。
最初のコメントを投稿しよう!