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そういや魔法使いのおばあちゃんいなくね? と思ったら
探偵事務所に向かう道すがら、名前も知らないこの人は身の上話をはじめた。
「実はこのあたりにうちのばあちゃんの恩人がいてね、ばあちゃんはその恩人の娘さんのところに行く予定だったんだ」
「ふんふん」
「けどばあちゃん、2週間前にギックリ腰になっちゃって起き上がれなくてさ。ぼくがかわりに来たんだ」
「えっ! それはツライ」
異世界でもギックリ腰は大変らしい。
この人は見た目むちゃくちゃ怪しいけれど、おばあちゃんのためにこの街まで来たのね。
「でもネー、道に迷っちゃって、今日ようやくその子の家についたんだ。なのに『そんな子はいない』って追い返されちゃってさ。このままじゃ舞踏会に間に合わない。その子にドレスの魔法をかける予定だったのに。だから探偵に頼んで探してもらおうかと思ったんだ」
…………ん?
もしかしてこの人、シンデレラにドレスとかぼちゃの馬車を授ける魔法使い(の代理)?
魔法使いのおばあちゃん、明らかに人選ミスだよ。孫は大遅刻しているよ。
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