そういや魔法使いのおばあちゃんいなくね? と思ったら

1/2
前へ
/14ページ
次へ

そういや魔法使いのおばあちゃんいなくね? と思ったら

 探偵事務所に向かう道すがら、名前も知らないこの人は身の上話をはじめた。 「実はこのあたりにうちのばあちゃんの恩人がいてね、ばあちゃんはその恩人の娘さんのところに行く予定だったんだ」 「ふんふん」 「けどばあちゃん、2週間前にギックリ腰になっちゃって起き上がれなくてさ。ぼくがかわりに来たんだ」 「えっ! それはツライ」  異世界でもギックリ腰は大変らしい。  この人は見た目むちゃくちゃ怪しいけれど、おばあちゃんのためにこの街まで来たのね。  「でもネー、道に迷っちゃって、今日ようやくその子の家についたんだ。なのに『そんな子はいない』って追い返されちゃってさ。このままじゃ舞踏会に間に合わない。その子にドレスの魔法をかける予定だったのに。だから探偵に頼んで探してもらおうかと思ったんだ」  …………ん?  もしかしてこの人、シンデレラにドレスとかぼちゃの馬車を授ける魔法使い(の代理)?  魔法使いのおばあちゃん、明らかに人選ミスだよ。孫は大遅刻しているよ。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加