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「それにしても、バラ三本なんてオシャレだね」
「わかるんですか?」
「うん。それにこんな綺麗な赤色。ありがとう。」
ユキさんは嬉しそうにニコニコしている。
僕もつられてニコニコしている。
その時、雪が降ってきた。
空から舞い落ちた白い粉は僕らを包み込む。
「手、繋いでもいい?」
「せっかくなら、特別な繋ぎ方がいいです」
ぎゅっと、ユキさんの手を握る。
いわゆる、恋人つなぎというやつだ。
ユキさんは僕にもたれかかってきた。
「今日はあの日のように特別だ」
そんなことを言ってくる。
僕はもっとユキさんに触れたくて、
イジワルなことを言った。
「それなら、もっと特別にしませんか?」
ユキさんは顔を上げて、僕の方を向く。
よくわかっていない顔で、コクリと頷いた。
それがたまらなくかわいく見える。
「じゃあ、両目をつぶってください」
大人しく従うユキさん。
今の僕は満たされている。
そして、その艶やかな唇に僕は自分の唇を重ねた。
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