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ユキさんは二つ歳上で、神秘的でミステリアスな人だ。
肌は白く、髪は銀髪で、瞳は色素が薄い青。
まるで、銀景色のような人だ。
「久しぶり」
口数は少ないけれど、ユキさんの暖かみは知っている。
僕の誕生日にプレゼントを用意してくれたり、
勉強で困ったら教えてくれたり、
相談に乗ってくれたりする。
ユキさんは雪のように儚くて冷たいように見えるけれど、
芯には暖かい心があることを僕は知っている。
「お久しぶりです」
ユキさんと出会ったのは小学生の頃だ。
その日も雪が降っていて、キーンとする寒さだった。
なぜか、子供心で冒険をしたくなった。
どんどん人気がなくなって、川を越えて、林の中を通って、開けた場所に出た。
いつのまにか、かぶっていたニット帽も、首に巻いていたマフラーも消えて、手袋も片方しかなかった。
帰り道がわからなくて近くにあったベンチで泣いていると、ユキさんが来た。
ユキさんはなぜか僕のニット帽とマフラーと手袋を持っていた。
僕の手を取って、歩き出す。涙は止まっていた。
林を越え、川を越え、見知った公園に戻っていた。
ユキさんは去ろうとした。
僕はユキさんに感謝の言葉を伝えるとともに、また会いたいとこぼした。
ユキさんは微笑んで、また川を越え、林を越えたあの場所にいると言った。
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