本編

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手にはほかほかの肉まんが二つ。 寒い中待っててくれるユキさんへの差し入れだ。 それに、好きな人に尽くすことはとても幸せだから。 「ユキさん!」 その声にユキさんは持っていた本から顔を上げた。 僕が肉まんを手渡すと嬉しそうに頬を染める。 白い吐息がもくもくと僕を通り抜けていった。 「おいしい…」 そのつぶやきに心の中でガッツポーズを決める。 よかった。喜んでくれて。 ニコニコ笑ってユキさんの隣に座ると、ユキさんもニコッと微笑んでくれた。 「話がある」 その一言が冷たく響く。
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