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すやすやと眠っているようだけれど、手を握ればわかる。
多分ここで長時間待っててくれたんだ。
自分のコートをユキさんにかける。
ポケットに入れてあったカイロを頬につけた。
「冷たい……」
もっと早く来れば、
もっと違う場所なら、
もっと季節が巡ってからなら……。
好きな人がこんなに冷たくなるぐらいなら、
僕は春になってからでもよかったのに……。
その瞬間、思い出す。
『私は冬が好きだ。
なぜならね、雪が好きなんだ。
奇跡を運んでくる神様がくれた魔法だから。』
白い吐息が消えていく。
ユキさんが冬を好きなように、僕も冬は好きだ。
夜は短いけれど、ユキさんに出会えたから。
ユキさんが言ったように、雪は奇跡を運んでくる魔法だから。
春だったら、きっと、僕らは離れていった。
けれど、冬なら僕らは冷たい空気を温める絆を求めて会いにいく。
「ユキさん……!」
それなら、この寒さを僕の暖かさで温めます。
そして、今日言いたいこと全部言います。
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