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こうして、十五年後のマイケルによるツアーが開始された。
「その名も『十六歳の大馬鹿野郎の黒歴史ツアー』だ」
「え?」
「まずはこちらをどうぞ」
マイケルの私室に案内されたエリザベスは、その奥にある書斎に通された。
とある一角の書棚は木の扉がついており、マイケルはそれを持っていた鍵で空ける。
そこには、ニ十冊にも及ぶ本が並んでいた。背表紙には、一から二十までの数字が書かれている。
「これは?」
「大馬鹿野郎の日記です」
「えっ。見ていいの?」
「見てはいけませんが、見せます。今日だけですよ」
「……」
「本当に、今日だけだからね?」
今からでも辞めたそうにしているその姿に、エリザベスは急いで日記を手に取る。
そして、中身を読んで、凍り付いた。
▽~~~~▽
○月2日
今日はマイハニーが俺に会いに来てくれた。
ハニーは相変わらず妖艶で、彼女に見られるだけで、俺は緊張してしまう。
もっと気の利いたことを言えと、兄にも弟にも姉にも妹にも母にも父にも毎日説教されているというのに、彼女を目の前にすると上手く気持ちを伝えることができない。
いや、俺は悪くない。
美しすぎる彼女がいけないんだ。
彼女の夜空のような瞳の前では、俺のような存在はチリの如く消え去ってしま(続きが血で汚れている
△~~~~△
エリザベスは青ざめた。
「……あいつ、浮気してる……!」
「どうしてそうなるんだよ!? ここに書かれているのは君のことだよ!!」
「いえ、でも、このマイハニー様がわたしである可能性は、天地がひっくりかえる可能性よりも低いわ……」
「どれだけ自己評価が低いんだ!? 君のことだってば!!! ほら、続きを読んでごらんよ!」
マイケルに促され、エリザベスは仕方なく続きを読むべく、日記に目を落とす。
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