3 3日目

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 しーんと静まり返った室内に、マイケルが居心地悪そうにつぶやく。 「君には、全然伝えてなかったけどさ……」  エリザベスは、真顔になっていた。  だって、突然この面白日記が、マイケルがエリザべスへの愛をつづったものだと聞いて、信じられようか。いや、無理。 「無理だと思うから、色々用意したんだよ」 「あら。心の声が口から出てました?」 「そうだね……」  疲れ果てた様子のマイケルは、次の観光地(?)へとエリザべスを案内した。  そこは、マイケルの隣の部屋のクローゼットだった。  マイケルが開けていいと言うので、エリザベスがクローゼットの扉を開くと、その中には彼女が目を疑うような品々が入っていた。  華やかな衣装の、女性服、女性用の鞄、女性用のお飾り。  薄水色地に金の刺繍が入っているなど、全てマイケルの色で染まっているのが異様な光景である。  エリザベスは絶句した後、呟いた。 「……あいつ、浮気してる……!!」 「だからなんでだよ!!? 全部君へのプレゼントだよ!!」 「いえ、でも、この洋服が全て私あての品である可能性は、王宮に隕石が落ちる可能性よりも低いわ……」 「どれだけ自己評価が低いんだ!? 君のものだってば!!」 「でも、ほとんどの品のサイズが、わたしとは違うもの。それに、わたし用に作ったなら、なんでわたしに渡さないのよ?」  眉根をよせるエリザベスに、マイケルは目を彷徨わせながら、もごもごと言い訳をする。 「ずっと渡したかったんだけど」 「うん?」 「独占欲丸出しすぎて、なんか恥ずかしくなってきて、渡したいなーと思いながらずっと悩んでいたら、君が成長してしまって」 「え?」 「だから、その。君と出会ってから、毎年、毎シーズン、作ってたから」  顔を真っ赤にしているマイケルに、漸くエリザベスはまじまじとクローゼットの中の服を見る。  言われてみれば、小さなものほど、大分前の流行の意匠のものとなっている。 「なんで言わないの」 「日記に書いてあるけど見る?」 「いえ、いいわ」  真顔のエリザベスに、マイケルは涙目で俯いた。
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