第二幕 驚嘆と愁嘆のサーカス

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 休日になり、いつもの習慣で僕が紅茶を淹れていると、ヘルは興味深そうにレーヴのチラシを見ている。 「どこもサーカス団の話で持ちきりみたいだね」 「サーカス団なんて滅多に来ないから当然といえば当然だな。俺の職場でも見に行こうとしている人間がほとんどだ」 「そういえば、このサーカス団ってどこの国の人たちなんだろう」 「噂を信じるなら、多国籍・他民族の人が集まってできたって話だ。でもそんな名も無い人たちがここまで大きなサーカス団になるには、それなりに支援が必要だったはずだ」 「どこかの国が後ろについてるってことだよね」 「もしくは買収したかだ。まぁ可能性はいくらでも出てくるさ。考えうる全てのパターンを想定しないとな」  どんなに強い魔女でも、使い魔でも、人間の思惑を明らかにする魔法など使えない。魔法は奇跡の結晶ではないのだ。 「……最初の公演は来週末か。まずは自分達の目で確かめにいかないとね」             *
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