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カフェ美宙のとある昼下がり
怪しい
いや、怪し過ぎる…
最近お姉さん達がやたらと優花さんやシイさんのタブレットに群がっている光景を目にする
例外は冴香さんだけで、秋さんも〆切過ぎれば仲間入りしておられるし、猫さんは大体男性だし、あたしだけがハブられている…と言うよりあたしから何か隠そうとしている…
しかも見ている間、お姉さん方、しょっちゅう黄色い悲鳴を上げておられる
それを眺めている猫さんと冴香さんは、只々呆れたような苦笑いを浮かべていることが多い
もう一度言う…怪しい…怪し過ぎる…
冴香さんに聞いてみたトコロ、珍しく言葉を濁されるし
猫さんに至っては
「まあ、夢があって良いんじゃないですか?」
そんな返答が返ってきた
これは他の誰かに聞かないと!
そう思っていると、不意にハルさんがトイレ?に立たれた
事情聴取するにはこれ以上ないチャンス!
出てきたところを捕まえて
皆さん何を一生懸命ご覧になってるんです?あたし見たことないんですが
…しまった…どストレートに聞いてしまった…
いくらハルさんが優しくても答えてくれるはず、ないよね…
「あっちゃー!美優ちゃんにバレてたっすかー?やっぱ隠し通せるワケないっすよね~」
…あれ?やけにあっさりと…
話しを聞いてみると…
まあ、単にドラマを見ていた、が大筋
なら別にコソコソしなくても…そう思った
ところが…
「いやー、看護士さんと患者さんのラブロマンスなんて、そっちのえっちなドラマじゃないっすか」
!!!!
看護士と患者さんの間でロマンス?絶対に有り得ません!!
病院の規約にも、連絡先の交換からして厳禁だって明記してあります!!
「まあ、ドラマの中の話しなのでフィクションだってわかってるんすけどねー?」
話しているウチに、ハルさんの部屋の前に到着、中にはシイさんや優花さん、秋さんまでお揃いで…
言っておきますが、看護士と患者さんの連絡先の交換や交際は、禁止されてますから!!!!
あたしだって猫さんと連絡先の交換も交際もしてなかったんですからね!
中のお姉さん方に声高に宣言する、しておく
「「「「え?」」」」
…四人の視線がタブレットからあたしに集中する…
何か不穏な気配があたしを包み込む…何か良くないことが起こりそうな予感…
「え?病院って、そんな決まり事があるの?そりゃ医者と看護士が不倫三昧なわけねー」
「…じゃあどうやってパパと連絡取ってたの?ウチも聞いてるけど?ここに引っ越して来た時の事」
「そうよ!あたしと冴香さんより先に猫さんと合流して何をしようとしてたのよ!」
「あたしもそれは聞きたいっす!お料理もお洗濯もお掃除も出来ない美優ちゃんが、ししょーと二人っきりになるなんて…ヤバ過ぎっす!」
う…た、確かに家事全般何も出来ないあたしだけど…どストレートに言われるとちょっと傷つくなー?
四人から一斉にクレーム?の声が上がり、誰から対処しようと思っていたところ…いや、秋さんとハルさんは後回しで良いだろう、シイさんと優花さんを先に片付けなくては…
「「あの、カフェまで全部筒抜けなんだけど、もう少し声を抑えてくれない?」」
援軍が来た!
本当は猫さんだけで良かったのに、おまけで冴香さんまでくっついて来た…
あたし達五人で口々に事情を説明して行くと
「え?病院ってそんなルールがあるんですか?…ちょっと描さん、どうやって美優ちゃんの連絡先を聞き出したのか、説明してもらおうじゃないの!」
あ、違う人が火事になった…
描さんの襟元を掴んでガクガクと揺さぶっている
「えーっと、美優ちゃんの連絡先聞いたのって…確か病院を脱走する日、でしたよね~?やっぱり輸血用の血液を持ち出してもらうってヤバい橋渡ってもらったワケで、僕らは共犯なんですし」
…ダメだ…猫さんには根本的に悪気がない…ポンポンと質問に答えて行く…
冴香さんって火に油を注いでいることに気付きもしないで…
「それにお医者さんと看護士さんが不倫しても困るのは当人達なんだから、問題ないと思いますよ?僕らの前の職場も社内恋愛は一応禁止でしたし」
「「「「「え?」」」」」
…どうやら猫さん、盛大に地雷を踏んでしまったみたい…
さっきまで火事だった冴香さん、いつの間にか消えてるし…
秋さんが無言で立ち上がり、猫さんの背後の障子戸を
ピシャン!!!!!!!!
必要以上に大きな音で閉めていた…
襟元をガクガクするのが冴香さんから秋さんに代わるのが…
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