第6章 革命の夜

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 わたしとロクもアリサから少し遅れて後に続いた。  アリサは、父様の執務室に駆けていく。  「父様!クロトが!」  アリサが父様の執務室に入ってすぐに父様が慌てて出てくる。  父様は、執務室の外でわたしとロクの姿を見つけるとその表情を輝かせた。  「クロト!」  父様は、わたしをがしっと抱き寄せると割れるような大声でわたしの名を呼び続けた。  「クロト!クロト!!」  しばらく父様は、わたしを抱いたまま離そうとはしなかった。  父様は、わたしの側に立っているロクに気づくとやっとわたしを離してくれた。  「あなたがクロトを助けてくれたのか?」  ロクが頷くと今度は、ロクを抱き締める。  「ありがとう、ありがとう!」  ロクは、困ったような顔をしていた。  ロクからすると小男である父様にがしっと抱き締められてロクは、複雑な顔をしている。  わたしは、くすくすと笑ってしまった。    父様が落ち着いてからわたしたちは、父様の執務室へと集まった。  そこには、父様と母様とアリサとわたしたちの他には、我が家の騎士団の長であるひげ面の中年男であるヴォルトともう1人、従兄弟のイクセムがいた。  彼らは、わたしからことの次第を聞かされると憤りを露にした。  「エルフの連中は、クロトが王国から逃げようとしたところを魔物の襲撃にあって死んだと言っていた」  「そんなこと、嘘、よ!」  わたしは、声をあらげた。  「もし、ロクが助けてくれなかったら、わたしは、きっと殺されていたわ!」  「くそっ!エルフどもが!」  イクセムが拳を握りしめた。  うん。  わたしは、小首を傾げて父様を見た。  なんで、ここにイクセムがいるの?  わたしの疑問を感じ取った父様が咳払いをした。  「あー、クロト。従兄弟のイクセムは、この度、わたしの息子となったのだ」  はい?  わたしは、怪訝そうな表情で父様を見た。  父様は、わたしに信じられないことを告げた。  「実は、お前がいなくなった後、イクセムとアリサは、夫婦になり、我が家に婿としてイクセムを迎えたのだ」  ほぇっ?  わたしは、イクセムとアリサを交互に見た。  意味ありげに微笑むイクセムに頬をうっすらと染めて俯くアリサ。  「アリサが結婚?」  「そうだ」  父様が頷く。  
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