なごり雪

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「かあちゃん、みて、みてー」 「なになに?どこ見んのー?」 「そら!」 「空?」 「うん!ほら!ふわふわのかきごおりがおちてきてんねん。もったいないなぁ…かみさんたくさんつくりすぎはったんかなぁ…」 息子の言う通り空を見上げると、ふわ、ふわり…と雪が降ってきた。 「オカン、そしたら行くわ!社員寮に着いたらラインするし」 東京で新社会人になる息子を家の前で見送る。 「そうして、そうしてー。あと、生存確認に毎日ラインしてな」 「毎日ラインって、どんだけ過保護やねん」 「まぁ、まぁ、まぁ…頼んだで」 「まぁ…うん…分かったわ。そしたら時間やし、行くわ」 「うん、(きい)つけてな…行ってらっしゃい!」  息子の姿が見えなくなるまで手を振って見送っていると、腕に冷たいものが当たる。空を見上げると、ふわ、ふわり…と雪が降ってきた。 (謙介…神さん、またかき氷作り過ぎたはるわ)
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