2 日常

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 『龍涙』を確保したいなら、その対象は俺でなければいけない訳では無い。他の人情溢れる龍にでも頼めば少しは事が円滑に進むだろう。そんな従順な奴がいるかは分からないが、少なくともそんな都合の良い龍を探そうとはするだろう。  龍の個体は少数だが、必ず存在する。繁殖力の代わりに生命力は著しく強い。五十年前に別れたビジネスパートナーも生きてるし、コミュニティの奴らも半数は生き延びているだろう。  目眩がする。  龍は闘争を求めて殺し合う癖に、醜くも確実に生き残る。俺はその輪廻が嫌いで逃げ出して来たのに、カエデが傍にいると厄介事に巻き込まれる気がして落ち着かない。 「俺が泣けたら、全部解決するんだがな……」  既に賽は投げられている。  俺は進み続けるしかない。  たとえ他の何を犠牲にしても、生き残るしか出来ない。全てを破壊して有耶無耶にするしか出来ない。  龍は、敗北を許さないのだから。
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