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「それじゃ、さっそくやってください」
和也がそう言うと、科学者風の男はこくりと頷き──
金属の棒を和也に突き付けた。
「え……?」
とたんに、和也の身体はバチバチッと青い光を発しながら蒸発して消えていった。
あとに残ったのは除霊業者の3人だけである。
科学者風の男は金属棒のスイッチを切りつぶやいた。
「ふう。強制成仏、終了。ようやくいなくなったわい」
その言葉を受けて、この家の本当の住人が恐縮しながらやってきた。
「ああ、ありがとうございました。本当に助かりました」
「本当に強い霊気の持ち主じゃったな。自分が霊であることすら気づいておらんかったからの」
「もう、夜な夜なうるさかったんですよ。『ここは僕の家だ。出てけー』って。こっちも反発して『今はオレの家だー。出ていくのはそっちだー』って言い争いになってて……」
「霊の彼も、人間のあなたが夜な夜なうるさいと言ってましたよ」
お坊さんがそう言うと、ベテラン霊能力者も頷いた。
「僕の家なのに、ってね」
「まったく、自覚症状がないというのは恐ろしいのう」
こうして、この家の除霊は完了した。
和也のいなくなったこの家の住人は、二度と霊に悩まされることはなくなったという。
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