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息子を連れてプールへ行った。
息子が行きたいと言ったわけではない。
私が連れて行きたかったのだ。
子供用のプールで息子を遊ばせ、私は椅子に座って監視していた。
息子は楽しそうに泳いでいたが、急にプールの真ん中で立ち上がり、ぶるぶるっと震えた。
2、3回震えたあと気まずそうな顔をして立ち止まった。
腰から下は水に浸かっていて見えなかったが、なんとなく想像はついた。
まったくもう、と思いつつ息子に声をかける。
「上がって来なさい」
プールから上がってきた息子の海水パンツを脱がせて私は確認する。
やっぱりだ。
プールの水が機械の中に入ってしまい、変な動きをさせたようだ。
いちおう防水機能には気を使っていたつもりだが、まだまだ完全防水とはいかないようだ。
私は自社で開発中の子供ロボットを息子のように可愛がり、一緒に暮らしている。今日の不具合もこれはこれで可愛いものだと思う。
帰りの車の中で助手席におとなしく座っていた息子は、しばらくするとまたぶるぶるっと震えて今度は「ごめんなさい」と謝った。
THE END
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