ふたつのなみだ

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「今日も義母さんから連絡があって、孫はまだかって。あなたから、何か言ってもらえないかな？ほぼ毎日のように言われるし、私が何を言っても私を欠陥品だとか言って」

俺が30才で泉が25才の時、同じ会社の経理部にいた泉と結婚した。
入社した時から可愛いと思い何度も食事にさそったり、他の男が近づかないように牽制してなんとか結婚に漕ぎつけた。
母さんは早く孫の顔が見たいと言って泉が仕事をすることを反対したことと、社内で泉を狙っていた奴を俺の立場を使って遠ざけたりしていたのでそれを知られたくないし、何より俺だけの泉でいてほしいから本当は仕事をしたがっていた泉に無理を言って辞めてもらった。
その頃は課長職にありそれなりの給与ももらっていて泉1人を養うくらい何ら問題もなかった。
俺は頑張っているが一年経っても子供が出来ずにいると母さんが妊娠する水だの、お守りだのを持ってくるようになり、最近では毎日のように泉に電話で孫はまだかと催促するようになった。

泉は初めの頃は、1人で聞いていたが今は母さんからああ言われただのこう言われただのといちいち報告してきて俺に何とかするようにとか言ってくる。
排卵日を調べていついつなら妊娠しやすいからその日にするだの雰囲気も何もない行為に俺も苛立っていたし、泉が病院で検査をして「自分には問題がなかったから俺にも検査ほしい」と妊娠しないのは俺が悪いみたいな事を言って来たことで泉と話をするのも聞くのも、ましてや母親からの小言を泉の口から聞くのも嫌になって何かを言っていてもスルーするようになった。

だから子供の話が出ると決まって俺は
「俺はちゃんとヤッてるんだから、妊娠しないお前が悪いし、仕事もせずにダラダラしてるんだから母さんのお守りぐらいしろよ。俺は忙しいんだから」
こう言い放った後は不機嫌な態度を見せて無視をすることにした。

俺は泉を愛してるし本当だったら一緒にテレビをみたりダラダラとリビングで一緒に過ごしたいのに不満げな顔を見たくなくて1人でゲームや動画を見るようになった。
そんな時、営業部の新人として入ってきた舞に仕事のことで相談にのってほしいと言われて何度か仕事終わりに会っているうちにそういう関係になった。
泉とは子供を作るための義務的な行為になっていきその義務さえも果たすことはなくその事で泉が何かを言うことはなくなっていたから、舞との行為は新鮮だった。

家に帰れば母さんのことで愚痴られるから、舞と遊んで深夜に帰ったり、たまに泊まったりしていたある日、舞から妊娠したと報告を受けた。

ちゃんと避妊していたのに、避妊具が破れていたのかもしれない、ただ、泉とは狙ってヤッてもダメだったのに舞は避妊具を使っても子供ができたということは問題は泉にあったことがはっきりした。

泉には悪いと思うが、子供ができたのなら両親も喜ぶだろうし不倫で慰謝料を支払わないといけないとしても舞を選ぶことが最善だと思った。

両親に伝えると、子供が出来なかった泉が悪いのだから潔く別れなさいと母さんが泉に言ってくれて俺からは200万円、舞はまだ若くて貯蓄が無く100万円を用意できないと言われた為、舞の分として100万円を上乗せする形で合わせて300万円を渡して離婚が成立した。