ふたつのなみだ

8

土曜日で仕事が休みだが休日出勤だとメモを残してマンションを出るとスーパーに向かった。

9時30分開店の開店時間に間に合うように向かうと、入り口には入店を待つ客が並んでいるのでその最後尾に並んだ。
「おはようございます」とほがらかな掛け声を受けながら入店し、レジを確認するとどのレジにも泉はいなかった。
シフト制だろうから出勤の時間はもう少し遅いのかもしれない。
となるときっと月給にしたら少なくて生活もきついかもしれない。やっぱり俺が助けてあげないといけないという使命感が湧いてきた。

このスーパーにはイートインスペースがあることに気がつき、朝食用のおにぎりとスーパーのプライベートブランドのペットボトルのお茶を購入してからイートインスペースに向かう。
電子レンジやポットが置いてあり、カップ式自動販売機も置いてあった。
都度ドリップのコーヒーやスープ、さらには味噌汁まであり味噌汁を購入して席に着くとおにぎりと一緒に食べ始めた。
コンセントもあり充電もできるようで時間を潰すのにはもってこいの場所だ。

1時間ほど時間を潰すとフロアを確認してからレジを見るが泉はまだいなかった。
日用品コーナーを見ていると雑誌なども置いてあり週刊誌を購入してイートインコーナーへ戻った。
パラパラとページをめくっていたがふと思い出して舞のスマホを録画したものを確認する。
いつからホストクラブに行っていたんだ？
俺が実家に避難している時とかだろうか？
まともに家事もしないくせにホストクラブとか、嘘をついて俺と泉の間を引き裂いておいて好き勝手しやがって。
金遣いや生活能力の無さで離婚をするのもいいかもしれないが、ヒステリーを起こした舞は面倒な女になるから、母さんに任せた方がいいかもしれない、そもそも事の発端は母さんなんだから。面倒くさい女同士でなんとかしてくれるだろうし、泉とヨリを戻すと言えば母さんも協力をしてくれるだろう。
お昼を過ぎたところでもう一度フロアに行くと今度はお昼用に弁当を購入してレジに向かうがやはり泉はいなかった。
もしかすると泉は土曜日が休みなんだろうか？
それとも土曜日は他の仕事をしているか？
どうせ帰ったところで舞と話すこともないしもう少しスーパーにいようとおもい自販機でコーヒーを購入すると引き立ての豆の香りがフワッと立ち思わず深呼吸をした。

結局何度か食べるものを購入してはイートインで時間を潰してスーパーを出たのは午後の4時だった。