ユートピア

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染みの浮き出た灰色の天井と装飾の一切ない無機質な壁。 鉄格子のはめられた窓は、 菅原礼子がこの部屋に移動してきてから一度も開けられことがなく、 昼間、短時間だけ差し込む日の光と、夜に忍び込んでくる冷気だけが この部屋と外の世界がつながっていることを思いださせてくれる。 礼子はパイプベッドの上で、腕から伸びたチューブに 栄養剤を送り続ける点滴をぼんやりと見つめていた。 自分はなぜ、ここにいるのだろう・・・
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