蜂蜜の味

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「はぁ、どうしよっかなー…」 「もう行っちゃえって!!」 昼の休憩中、俺は親友のリュウイチと肩を並べてちょっとしたトークをしていた。 俺の名はキリヤ。ただの中学二年生だ。 特技も何もないし、個性もなんもない。 そんな俺でも最近は心の変化が起きている。 それは、「恋」という名前の心の変化だ。 俺は「好き」の感情を、どうやって抱えて生きていこうか迷っていた。その時、俺はつい親友のリュウイチにいつの間にか相談していた。 「やっぱりやめた方がいいのかなー?」 「いや!今すぐ言った方がいいと思う。マナもお前のこと好きって言ってるって聞いてるぞ!!」 マナ。 言葉の響きが実に気持ちの良い名前の主…それが橘マナ。 俺の大好きな人の名前である。 名前を呼ぶだけでも愛おしいその人は俺の通っている学校のマドンナ的な存在だ。 俺はそんな彼女に恋をしている。 友人から聞いた噂では俺のことが好きだとか… 「実のこと言うと…俺もマナから視線を感じるんだよね…」 これはもしかしたら勘違いなのかもしれないが、マナとは良く目が合うんだ。 俺はそのたびに胸の奥が締め付けられて、そっぽを向いてしまうのがセオリーなのだが… 「お!やってる?」 すると後ろから女の声がした。 レイだ。 レイはマナの親友で、「マナは俺の事が好き」という情報を最初に促してくれた人物だ。 「なぁレイ!こいつがなかなか告白してくれないんだよぉ!」 「ええ~!まだ迷ってるのぉ~?」 口角を上げて俺に言った。 「いや、まだ分からないからさ…!」 「でも、レイが言うにはマナってキリヤの事が好きなんだろ?」 「うん!本人も言ってた!!」 「じゃあ、行けんだろ!!」 二人はニコっと笑顔を俺に見せて言った。 「キリヤなら絶対行けるよ!!」 「お前の根性を見せてやれ!!」 俺はそんな二人の言葉に心が揺らぐ。 「で、でも…!!」 俺が弱音を吐こうとしたその瞬間。 「あれ?何してるの?レイ。 」 またもや後ろから。 でも今度は凛とした透き通るような声。 笑い声がとても相応しい、そんな声がした。 この声の主は誰か。 間違うことなんてない。 この声は俺の好きな人、マナの声だ。
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