隣にいるのは

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「莉子? なんか変だぞ? 具合悪いなら帰って……」 「これっ!」  拳を突き出すようにして湊人へと向けた。  握りしめているのは、ミサンガだ。 「あぁ。作ってくれたのか」  コクンと頷くものの、湊人の顔が見れず下を向いてしまう。  まっすぐに突き出した拳は、力が入り過ぎてプルプルと震えてしまう。 「ありがとう」  気配で湊人が手のひらを出したことを感じたので、パッと拳を開いた。  はらりと落ちたそれは、湊人の手のひらにおさまった。 「さんきゅ……あれ? これって」 「い、一緒のは作れなかった!」 「そっか。大事にするよ」  顔を見なくても声が優しい。喜んでくれているのが伝わってくる。 「これ、前回と色が違うのは意味があるのか?」 「い、いいい意味っていうか……あ、青は湊人っぽいって思ったから。水色は私の好きな色。あとは……」 「あとは?」 「……なんとなくその色だって思ったの!」 「なんだ、それ」  ぷっと笑いながらミサンガをじっくりと見る湊人。  指でつまんで揺らされる、青、水色、ピンク色。  
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