隣にいるのは

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「にしても早かったな。急いで作ったのか?」 「ううん。落ち着かなかっただけだよ」 「なんで?」 「だって早く返事しなきゃって、あわゎっ!」  思わず口を塞いだけど、もう遅い。  っていうか、勘のいい湊人はきっともう気づいてるもん。私がなんでここで湊人を待っていたのか。 「返事くれるのか?」 「……もうわかってるなら、よくない?」 「いや。勘違いだったらイヤだし」 「なわけないじゃん」 「そう思っててもさ、違ったら俺、立ち直れないし」 「だから、そんなわけないって!」 「じゃあ、聞かせて」  そん、な。あらためて言われると……。 「ほら、早く」 「そんな急かして言うもの⁉︎」 「だって気が変わるかもしれねーじゃん」 「変わんないよ! やっと好きって気づいたんだから‼︎……あっ」  言っ、ちゃった。  あんなに出てこなかった二文字が。  ぽろっと、こぼれるように出てきちゃった。 「ははっ! 勢いまかせが莉子っぽいな」 「な、なによぉ」 「うそ。もっと時間かかると思ってたから。ありがとう」  湊人のその想像はきっと間違ってない。  あの川原さんとの件がなければ、私はまだ結論出せずにいたと思う。  とられたくないって、思ったんだ。  これからもずっと。当たり前のように隣にいるのは、私でありたいって。 「……バレンタイン、楽しみにしてて」  桃ちゃんに話して、来週末は一緒にチョコ作ろう。ミサンガよりもっと心をこめて。  今までとは違う、チョコを贈るんだ。
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