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「莉子ちゃーんっ! ゆき! 積もるかな? ゆきだるま、作れるかな?」
登校班の待ち合わせ場所に着くと、お隣に住んでいる一年生のあやちゃんが、雪におおはしゃぎだった。
「そうだねー。積もるといいけど、残念ながらお昼には止んじゃうんだって」
「そっかー。残念」
一瞬落ち込んだようにみえたものの、手袋をはめた手をお皿にして、空から降ってくる雪が乗るのを楽しそうに待っていた。
かわいいなぁ、あやちゃん。
傘は閉じて腕にかけていた。ダウンコートのフードを頭からかぶって、無邪気に雪と遊んでいる。
「おーっす!」
ん……?
声の方を見れば、同じ登校班の三年生、陽介がやってきた。
珍しい。いつも挨拶なんて言わずに不機嫌面なのに。
あやちゃんと同じで、やっぱり傘をさしていない。フードもかぶっていないから、頭にほんのり雪をかぶっている。
ふふっ。いつもは生意気でやんちゃな陽介も、こうしているとかわいいな。
「陽介、冷たくないの?」
「これぐらいどーってことねーよっ! はやく行こうぜっ!」
きっと早く登校して友達と盛り上がりたいんだろうな。陽介らしいや。
そんな陽介の後ろに……湊人がいた。
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