隣にいるのは

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「だから莉子も、のんびりしてたらとられちゃうよっ」 「え? とられるって?」 「そんなの湊人くんに決まってるじゃん」 「!!」  思いがけないことを言われて思わず前のめりになったら、桃ちゃんにゴチンッて頭突きしちゃった。 「……いっっったぁーっっ!」  二人して頭を抱えることになっちゃったけど、痛いと驚きと色んなことがごっちゃになってる。 「桃ちゃん、なに言ってるの?」 「なにって、莉子、鈍感っぽいから」 「鈍……」 「いつもそばにいてさー、気づかないんだろうけど、湊人くんってモテるんだよ。あ、噂をすれば」  ちょいちょいと、桃ちゃんが指でしめした入口すぐの廊下に湊人がいた。  周りには隣のクラスの女の子が三人。  うちの学校は他クラスに入ることが禁止されている。だからクラス違う子が話しかけるには廊下しかない。 「最近、湊人くん色んな女の子にアプローチされてるんだよ」 「え?」 「修学旅行で何人か振られてるし、クリスマスもね。それをみて逆に勇気づけられるのか『私も当たってみる!』っていう子も増えてるんだとか」  湊人がモテるのはなんとなくわかってた。  ずっと習っている空手のせいかな? 同年代より落ち着いて見えるし、口は悪いところあるけど優しいし。 「莉子、実際のところ湊人くんのこと、どう思ってるの?」
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