25人が本棚に入れています
本棚に追加
「だから莉子も、のんびりしてたらとられちゃうよっ」
「え? とられるって?」
「そんなの湊人くんに決まってるじゃん」
「!!」
思いがけないことを言われて思わず前のめりになったら、桃ちゃんにゴチンッて頭突きしちゃった。
「……いっっったぁーっっ!」
二人して頭を抱えることになっちゃったけど、痛いと驚きと色んなことがごっちゃになってる。
「桃ちゃん、なに言ってるの?」
「なにって、莉子、鈍感っぽいから」
「鈍……」
「いつもそばにいてさー、気づかないんだろうけど、湊人くんってモテるんだよ。あ、噂をすれば」
ちょいちょいと、桃ちゃんが指でしめした入口すぐの廊下に湊人がいた。
周りには隣のクラスの女の子が三人。
うちの学校は他クラスに入ることが禁止されている。だからクラス違う子が話しかけるには廊下しかない。
「最近、湊人くん色んな女の子にアプローチされてるんだよ」
「え?」
「修学旅行で何人か振られてるし、クリスマスもね。それをみて逆に勇気づけられるのか『私も当たってみる!』っていう子も増えてるんだとか」
湊人がモテるのはなんとなくわかってた。
ずっと習っている空手のせいかな? 同年代より落ち着いて見えるし、口は悪いところあるけど優しいし。
「莉子、実際のところ湊人くんのこと、どう思ってるの?」
最初のコメントを投稿しよう!